失恋ソングベストテン~サヨナラバス
失恋した時に聴きたい曲ベストテン(3) ~サヨナラバス~ 試聴
1999年に発売されたゆずの5枚目のシングル『サヨナラバス』。『わかれうた』が大人のほろ苦い恋を描いているのに対して、こちらは青春の甘酸っぱい恋を描いた秀作。若さ故に、恋に対しても不器用。なんで、あの時あの言葉が出てこなかったんだろう…。そんなかつての青春を思い出しながら聴いてみると乙な曲です。
=『サヨナラバス』な世界=
高校の卒業式も終わった3月、僕たちはバス停へと向かって歩いていた。いつもなら賑やかに会話しながら歩くこの道も今日は沈黙だけが流れていた。後ろから彼女のすすり泣く声がかすかに聞こえたけど、僕は気づかない振りをして石ころを蹴飛ばしながら歩き続けた。
(回想)
「私、東京の大学を受験しようと思うんだ。私の夢に1番近づける気がして。」
「そうなんだ」
「涼くんは地元の大学に進学するんだよね」
「うん」
「離れ離れになっちゃうね」
「うん」
「でもその大学すごいレベル高いし、私の実力じゃ落ちちゃうかも」
「そんなことないよ。純ちゃん、最近すごい勉強がんばってるし、きっと合格できるよ」
「でも合格したら、もう会えなくなっちゃうね」
「うん」
(回想終わり)
バス停に立つ僕の視界にバスが入ってきた。今ならまだ間に合う…。でも言葉が出てこない。たった一言、たった一言でいいのに…。
(回想)
「涼くん、私合格したよ! 嘘みたい」
「そう…、おめでとう」
「あんまり嬉しくないみたい」
「そんなことないよ」
「やっぱり行くのやめようかなー。今からでも地元の大学を受けることもできるし」
「……」
「行ってほしくない?」
(回想終わり)
バスに乗り、お釣りを待つ彼女が笑顔で振り返った。この笑顔もしばらく見れないのかと思うと、どうしようもなく悲しかった。でも僕は涙がこぼれそうになるのを必死でこらえて、精一杯の笑顔を返した。
「またすぐに逢えるよね」
「うん、もちろん。元気でね」
プシューという音を立てバスの扉が僕たちの会話を阻んだ。静かに走り出すバスの中で、彼女は手を振り続けた。僕も負けずに手を振り続けた。サヨナラ、また笑って話せるその日まで。
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